逆光の写真、なぜプロはあえて使う?スマホでの撮り方とコツ

カメラ・撮影技術

逆光で撮った写真、顔が真っ黒になってがっかりした経験はありませんか。実はこの逆光、失敗どころかプロがあえて選ぶ光でもあるんです。今回は逆光でもきれいに撮る写真の撮り方を、スマホで試せる方法も含めてお伝えします。

逆光だと顔が真っ黒になる、単純な理由

逆光の写真、なぜプロはあえて使う?スマホでの撮り方とコツのイメージイラスト
イメージ(AI生成)

カメラもスマホのカメラも、画面全体の明るさを見て自動で明るさを決めています。背景に明るい空や窓が入っていると、カメラは「全体はこのくらいの明るさ」と判断してしまうんです。そのぶん、暗い顔の部分にまで露出(写真の明るさ)を合わせてくれません。結果として、被写体だけがシルエットのように暗く沈んでしまいます。

もうひとつの理由が、明るさの幅の差です。カメラが一度に記録できる明暗の幅(ダイナミックレンジ)は、人の目よりずっと狭いんです。だから空に合わせれば顔が黒くなり、顔に合わせれば空が白く飛ぶ。逆光の失敗は、ほとんどがここから起きています。

「逆光だから今日は撮るのをやめよう」と判断してしまうのは、実はもったいないんです。ちょっとしたコツで、逆光は驚くほどきれいな一枚に変わります。ここだけ押さえておけば大丈夫、という順に見ていきますね。

スマホでできる逆光対策、4つの方法

特別な機材はいりません。効果と使いどころを表にまとめました。

方法 やり方の目安 向いている場面 気をつけたいこと
HDRを使う 多くの機種で標準オン。設定のカメラ項目から切り替えられる 空も顔も両方見せたいとき 動きの速い被写体ではブレが出ることがある
タップして明るさを上げる 顔をタップし、出てきた太陽マークを上へスライド いちばん手軽。ふだん使いの基本 上げすぎると背景の空が白く飛ぶ
AE/AFロック 顔を長押しして露出とピントを固定(操作は機種で異なる) 構図を変えても明るさを保ちたいとき その場を離れると再設定が必要
フラッシュを強制発光 カメラのフラッシュ設定を「オン」に固定する 数歩の距離で顔だけ明るくしたいとき 離れすぎると光が届かない

いちばん出番が多いのは、2つめのタップ操作です。多くのスマホでは、画面をタップするとピントと明るさがそこに合います。そのまま指を上下に動かすと、明るさだけを調整できるんです。顔をタップして少し上にスライドすれば、逆光でも表情が見える一枚に近づきます。ただし明るくしすぎると背景の空が白く飛ぶので、少しずつ動かすのがコツです。

HDRは、明るさの違う写真を数枚まとめて撮り、明るい部分も暗い部分もちょうどよく見えるように合成してくれる機能です。近年の機種ではほぼ自動で働きます。

意外に思うかもしれませんが、晴れた屋外でフラッシュを光らせるのも有効です。プロの現場では「日中シンクロ」と呼ばれる考え方で、背景の明るさはそのままに、影になった顔だけを明るく起こせます。スマホのフラッシュは光が弱いので、距離は2〜3歩ぶんまでが目安です。

光の向きで、写真の印象はこう変わる

そもそも逆光は「悪い光」ではありません。光の向きは大きく3つ。それぞれの性格を知っておくと、迷ったときに選べます。

光の向き 顔の明るさ 写真の印象 向いている場面
順光(背中側から光) 明るく写りやすい 色がはっきり、健康的 集合写真・記録として残す一枚
サイド光(横から光) 片側が明るく片側が影 立体感が出る 表情に陰影をつけたいとき
逆光(正面から光が来る) 暗くなりやすい やわらかく、奥行きが出る ポートレート・雰囲気重視の一枚

順光は失敗が少ない反面、まぶしくて目を細めてしまいがちです。子どもの自然な表情を狙うときは、かえって難しいこともあります。撮りたいものに合わせて選べば大丈夫です。

あえて逆光を活かすと、こんな写真になる

「ポートレートの基本は逆光」と言われることもあるくらい、逆光は写真表現として好まれる光でもあります。髪や肩のまわりに光の線がふわっと浮かぶ「リムライト」(輪郭に出る光)という効果が生まれ、被写体の輪郭が引き立つんです。背景と被写体の間に自然と明暗差ができるので、奥行きのある印象的な一枚になりやすいんですね。

もうひとつが透過光です。木の葉や薄い衣、シャボン玉のように光を通すものは、後ろから照らされると内側から光ったように写ります。

顔の表情もしっかり見せたいときは、先ほどの明るさ調整を少しプラス側に。逆に思い切ってシルエットにしたいときは、あえて明るさを下げてみる。数枚撮り比べながら、自分好みの明るさを探してみてください。あわてなくて大丈夫、その場で見比べられるのがデジタルの良さです。

時間帯でも、逆光の表情は変わる

同じ逆光でも、太陽の高さで写り方はまったく違います。撮る時間を少しずらすだけで結果が変わります。

時間帯 太陽の高さ 光の質 撮り方のコツ
朝(日の出後1〜2時間) 低い やわらかく、色が温かい 逆光がいちばん扱いやすい時間帯
正午前後 高い 強く硬い。影が濃い 木陰や建物の陰に入って撮る
夕方(日の入り前1時間ほど) 低い オレンジ色でドラマチック リムライト・シルエットの狙い目
曇りの日 全体にやわらかく均一 逆光の失敗が起きにくい

「屋外の写真は晴れた日がいい」と思われがちですが、人物撮影なら薄曇りのほうが撮りやすいこともあります。雲が大きな傘のように光を散らし、顔に濃い影が出にくくなるからです。晴天の正午なら、木陰に入るだけで印象がぐっと変わります。

プロが最初に見るのは、腕より光
「スマホで撮るとなんだかパッとしない」と感じている方は少なくないはずです。原因の多くは腕でも機種でもなく、光の向きにあります。次に多いのが構図。しゃがんで子どもの目線に合わせる、半歩だけ横に動いてみる。そのくらいの工夫で印象は変わります。

もっと本格的に撮ってみたいなら

リフレクターを付けた撮影用ストロボ
撮影用ストロボ。光の向きを自由に作れます

スマホに慣れてきたら、レンズを選べるカメラに挑戦してみるのも楽しいものです。絞りを開けて撮ると、光の輪郭がやわらかくにじみ、玉ボケと呼ばれる丸い光の粒も楽しめます。逆光対策の道具も、代表的なものを並べておきます。

道具・機能 できること 使いどころ
露出補正 カメラが決めた明るさを手動でずらす まず最初に覚えたい基本
レフ板 光を反射させて影側に回す 顔の影をやわらげたいとき
ストロボ(日中シンクロ) 背景を残したまま顔だけ明るくする 晴天の屋外ポートレート
レンズフード 余計な光の写り込みを抑える フレアやゴーストが出るとき

屋外でストロボを使うとき話題になるのが、シャッタースピードの上限です。カメラとストロボが同調できる速さには限りがあり、一般には1/200〜1/250秒前後の機種が多いとされています。それより速いシャッターを使いたいときは、ハイスピードシンクロ(FPシンクロ)対応の機材が必要です。数値は機種ごとに違うので、説明書で確認してみてください。
同調速度の目安:価格.comマガジン「ポートレートが変わる! 日中シンクロの効果的な活用テクニック」

レフ板がなくても、白い紙や白いハンカチを顔の下に向けて持つだけで、似た効果が出ることがあります。まずは身近なもので試してみてください。

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まとめ

逆光は、コツを知らないと失敗写真の原因になりますが、HDR機能や露出補正を使えば、スマホでも十分きれいに撮れます。光の向きと時間帯を意識するだけでも、写真の印象は変わります。慣れてきたら、あえて逆光を活かしたドラマチックな一枚にも挑戦してみてください。次に逆光の場面に出会ったら、まずはタップして明るさを調整することから、試してみてはいかがでしょうか。

よくある質問

Q. 逆光で撮ると必ず顔が黒くなりますか?
A. 何もしなければ顔が影になりやすいですが、HDR機能や画面タップでの露出補正、フラッシュを使えば防げます。逆にあえて影にして輪郭を活かす撮り方もあります。

Q. 一眼カメラやミラーレスでも考え方は同じですか?
A. 基本の考え方は同じです。露出補正やレフ板、ストロボで顔に光を足す方法があり、明暗差が大きいシーンではカメラ側のHDR機能や段階露出の撮影も使われます。

Q. 逆光をあえて使うと、どんな写真になりますか?
A. 髪や輪郭に光の線が浮かぶリムライトという効果が出やすく、背景と被写体に差がついて、奥行きのあるドラマチックな写真になりやすいです。

Q. 逆光を撮るのに向いている時間帯はありますか?
A. 朝の早い時間と夕方の日の入り前が扱いやすいです。太陽の位置が低く、光がやわらかいためです。薄曇りの日も顔に濃い影が出にくく、失敗しにくくなります。

Q. 晴れた屋外でフラッシュを使うのはおかしくないですか?
A. おかしくありません。日中シンクロと呼ばれる方法で、背景の明るさを保ったまま影になった顔だけを明るくできます。ただしスマホのフラッシュは光が弱いので、数歩ぶんの距離までが目安です。