一升餅はなぜ「一生」を願う?地域で違う「餅踏み」「背負い餅」の由来とやり方

1歳のお誕生日に、大きなお餅を風呂敷に包んで背負わせたり、わらじを履かせて踏ませたりする「一升餅」のお祝い。写真館にも、一升餅を背負ったお子さんの記念撮影で来店されるご家族がたくさんいらっしゃいます。でも「なぜお米じゃなくてお餅なの?」「なぜ1歳だけ特別にお祝いするの?」と聞かれると、意外と由来を知らない方が多いんです。今日は一升餅にまつわる豆知識を、地域ごとの違いも交えてご紹介します。

そもそも「一升」に込められた願いとは

実は昔の日本には、誕生日ごとに年を取るという考え方がありませんでした。お正月が来るたびに全員が一斉に年を重ねる「数え年」が主流だったため、個人の誕生日を祝う習慣自体が今ほど一般的ではなかったのです。さらに医療が発達していなかった時代、赤ちゃんが無事に1年を過ごし、お正月を迎えられること自体が大きな喜びでした。そこから、1歳の誕生日を特別にお祝いする風習が広まったといわれています。

お餅の分量である「一升」は、人生を意味する「一生」と語呂を掛け合わせたもの。「一生食べ物に困らないように」「一生健康で過ごせるように」という願いが込められています。さらに丸いお餅の形は円満な人生を連想させることから、家族の幸せな願いがぎゅっと詰まった行事なのです。

地域によって呼び方もやり方もバラバラ

一升餅と一口に言っても、その内容は地域によってかなり違います。関東地方では「背負い餅」と呼ばれ、風呂敷に包んだお餅を赤ちゃんに背負わせて歩かせるのが定番です。埼玉県の一部では、最初は軽いお餅を背負わせ、徐々に重さを増やしていく祝い方も見られます。千葉県では「ちから餅」、東北地方では「立ったら餅」「餅背負い」といった呼び名も残っています。

一方、鹿児島・宮崎・福岡など九州地方でよく見られるのが「餅踏み」です。赤ちゃんにわらじや草履を履かせ、床に置いたお餅の上を歩かせる、あるいは踏ませるという方法で、丸餅ではなく平たいお餅が使われることもあります。地域によっては、あえて赤ちゃんをわざと転ばせて泣かせることが「厄払いになる」「たくましく育つ」として喜ばれる風習まであるそうです。同じ日本のお祝いでも、これだけ表情が違うのは面白いですよね。

「選び取り」もあわせて楽しむご家庭が増加中

最近では一升餅と同じタイミングで「選び取り」を行うご家庭も増えています。そろばん、筆、お金、定規などを子どもの前に並べ、どれを最初に手に取るかでその子の将来の適性や職業を占うというもので、こちらも古くから伝わる日本の行事です。一升餅で「健康と力強さ」を、選び取りで「未来への期待」を願う、まさに1歳の誕生日にふさわしい組み合わせといえるでしょう。

一升餅は地域や家庭によってやり方が違うからこそ、正解はひとつではありません。ご実家の風習を取り入れても、今どきの簡単な方法にアレンジしても、大切なのはお子さんの成長を家族みんなで喜ぶ気持ちです。この特別な瞬間は、後から見返せる記念写真としてぜひ残しておきましょう。一升餅を背負う姿、わらじで踏みしめる真剣な表情は、今しか撮れない一枚になりますよ。