「そろそろお宮参りの時期だけど、この暑さの中で赤ちゃんを連れて行って大丈夫かな…」。7月から8月に赤ちゃんが生まれたご家庭では、こんな迷いが出てきますよね。結論から言うと、お宮参りは時期をずらしても大丈夫です。神社側にも「何日目までに済ませなければいけない」という決まりはありません。ここでは、本来の時期と数え方、真夏を避けるご家庭が増えている背景、ずらすときの選び方を見ていきます。
お宮参りは本来いつ行うもの?数え方と地域差

伝統的なしきたりでは、お宮参りは男の子が生後31日目、女の子が生後33日目とされています。数え方は、生まれた日を1日目としてカウントします。生後1か月ほどで参拝するのは、生まれた赤ちゃんが俗世間の穢れに触れないよう過ごす神聖な期間「忌(いみ)」が、この頃に明けるとされてきたためです。ちょうど1か月健診が終わるタイミングとも重なります。
ただ、これは全国一律ではありません。ここ、意外に思われるところです。地域によって、時期の考え方の幅はかなり広いんですよ。
| 地域 | お宮参りの時期の慣例 |
| 多くの地域 | 男の子31日目・女の子33日目(生後1か月頃) |
| 北海道 | 暖かくなるまでずらすのが一般的。地域により生後100日目の「百日参り」 |
| 青森 | 気候が穏やかになった頃に参拝。一部で男の子120日目・女の子110日目 |
| 山形 | 一部地域で51日目 |
| 新潟 | 一部地域で生後100日頃の「百日詣り(ももかまいり)」 |
| 静岡(浜松) | 男の子55日目・女の子33日目。富士山周辺では51日目の風習も |
| 京都 | 早めに行うと嫁入りが早くなるという考えから30日頃 |
| 沖縄 | 一部地域では初宮参りの習慣がなく、生後100日目に先祖のお参り |
出典:産泰神社「【2025年版】お宮参りはいつ行く?ベストな日取りの決め方を神職が解説」(令和7年3月10日)をもとに整理
寒さの厳しい土地では、そもそも昔から時期をずらしてきたわけです。同じ神社の解説でも「お宮参りに関して厳格な決まりはありません」と明記されています。31日・33日は、守らないと失礼にあたる期限ではなく、あくまで目安なんですね。
真夏を避けて時期をずらす家庭が増えている理由
背景にあるのは、やはり近年の夏の暑さです。気象庁のまとめによると、2025年の夏は北日本・東日本・西日本のいずれも、統計を開始した1946年以降で1位の高温となりました。全国153の気象台等の観測地点のうち、132地点(うち9地点はタイ記録)で夏の平均気温が観測史上1位です。
影響は搬送データにも表れています。消防庁の確定値では、2025年5月から9月の熱中症による救急搬送は全国で100,510人。2008年の調査開始以降で最も多い人数でした。このうち乳幼児(生後28日以上7歳未満)は531人です。割合としては全体の0.5%ですが、注目したいのは発生場所で、住居が38.1%と最も多くなっています。屋外だけの問題ではない、ということですね。
そしてもう一つ、赤ちゃんならではの事情があります。環境省が地表に近い高さで行った観測では、子どもや車いすの方を想定した高さ50cmの暑さ指数は、大人を想定した高さ150cmに比べて平均0.1〜0.3℃高くなっています。風が弱く日射が強いときには、2℃程度高くなった事例もありました。さらに、地表面からの照り返しを受けやすいため、体感温度はもっと高くなるとされています。
| 比較する高さ | 想定 | 暑さ指数(WBGT)の傾向 |
| 150cm | 大人の高さ | 基準 |
| 50cm | 子ども・車いすの高さ | 平均0.1〜0.3℃高い/風が弱く日射が強いときは2℃程度高い事例も |
出典:環境省 熱中症予防情報サイト「生活の場における暑さ指数について」。暑さ指数は気温・湿度・輻射熱を組み合わせた指標で、気温そのものとは別のものです
抱っこひもやベビーカーの高さで感じている暑さは、大人が感じている暑さと同じではないということです。加えて、生まれて間もない赤ちゃんは体温調節の機能がまだ未熟で、汗をかいて熱を逃がす働きも十分ではありません。祝い着を重ねればなおさら熱がこもります。真夏の参拝をためらうのは、心配しすぎではなく理にかなった判断です。
いつまでに行けばいい?ずらし方の3つの選択肢
お宮参りに「いつまでに」という期限はありません。とはいえ、まったくの自由と言われると逆に決めにくいものです。産泰神社が紹介しているアンケート結果では、約9割の方が生後3か月までにお宮参りを済ませていました。生まれたばかりのやわらかさが残る時期に写真を残したい、という気持ちも含めての結果だと思われます。
現実的な選び方は、だいたい次の3つに整理できます。
| 選択肢 | 時期の目安 | 向いているご家庭 | 気をつけたい点 |
| しきたり通り行う | 生後31日/33日目 | 気候が穏やかな時期に重なる場合 | 猛暑日・真冬に当たると赤ちゃんの負担が大きい |
| 気候のよい時期にずらす | 生後2〜3か月頃(9月以降など) | 7〜8月生まれ・1〜2月生まれ | 祖父母への事前連絡。神社の混雑期と重なることも |
| お食い初めとまとめる | 生後100〜120日頃 | 祖父母が遠方・費用をまとめたい | 1日の予定が詰まり赤ちゃんが疲れやすい |
出典:産泰神社の解説をもとに整理。お食い初め(百日祝い)は生後100〜120日頃に行う行事です
3つ目の「お食い初めとまとめる」案は、お母さんの体力が回復し、赤ちゃんのお世話にも慣れた頃に行える点が利点です。遠方の祖父母を2回呼ばずに済みます。ただ参拝・撮影・食事会が1日に集中するので、スケジュールにはゆとりを持たせてください。
ずらすときに気をつけたい3つのこと
時期を動かすこと自体に問題はありませんが、段取りの面で押さえておくと安心なポイントがあります。
1つめは、祖父母への事前連絡です。「お宮参りは生後1か月に行うもの」と考えていて、その日を楽しみにしている祖父母もいらっしゃいます。日程を動かす理由を先に伝えておくだけで、当日のすれ違いはほぼ防げます。
2つめは、生後1か月頃の写真を別に残しておくことです。赤ちゃんは数か月違うだけで見た目がはっきり変わります。参拝を秋にずらすなら、1か月頃のふっくらした様子は、少しあらたまった服装での撮影や自宅での撮影で残しておくのがおすすめです。「お宮参りをずらすと、赤ちゃんらしい可愛さが残せないのでは」という心配は、参拝と撮影を切り離すことで解決できます。
3つめは、費用と予約の確認です。お宮参りにかかるお金は、おおよそ次のとおりです。
| 項目 | 目安 | 補足 |
| 初穂料(ご祈祷を受ける場合) | 5,000円〜1万円 | 「お気持ちで」とされる神社での目安。金額を公表している神社も多い |
| 撮影費(カメラマンに依頼する場合) | 1万円〜3万円 | プラン内容により幅があります |
| 食事会 | 5,000円〜1万円 × 人数分 | 行う場合のみ |
出典:産泰神社「お宮参りはいつ行く?」に記載の費用目安。神社・地域・プランにより異なります
ご祈祷は予約不要の神社が多い一方、予約が必要な神社もあります。特に七五三シーズン(9〜11月)や初詣の時期にずらす場合は、日程を確定させる前に予約の要否を確認しておくと安心です。なお、日取りを決めるときに六曜(大安・仏滅など)にこだわる必要はありません。六曜はもともと時刻の吉凶占いで、神社との直接的な関係はないためです。むしろ大安を外すと、混雑を避けてゆっくり過ごせるという利点もあります。
写真館の現場から見た「ずらす」判断
写真館では一般に、真夏に限らず「赤ちゃんの機嫌が最優先」で撮影が進みます。お腹が空けば授乳の時間を取りますし、その日どうしても難しければ別日に振り替えることもあります。時期をずらすかどうか以前に、当日も臨機応変に対応してもらえるかどうかを予約前に確認しておくと安心です。
参拝は涼しくなってから、撮影は先に室内で、と分けるご家庭も珍しくありません。あわてなくて大丈夫です。
よくある質問
Q. お宮参りは生後1か月を過ぎてから行っても大丈夫ですか?
大丈夫です。お宮参りをいつまでに行かなければならないという決まりはありません。男の子31日目・女の子33日目はあくまで目安で、赤ちゃんとお母さんの体調を優先して決めて問題ありません。
Q. 真夏のお宮参りは避けたほうがいいですか?
決まりはありませんが、赤ちゃんは体温調節の機能が未熟で、地面に近い高さほど暑さの影響を受けやすいことがわかっています。気候の落ち着く時期にずらす判断は理にかなっています。行う場合は参拝時間を短くし、涼しい時間帯を選んでください。
Q. お食い初めと一緒にお宮参りをしてもいいですか?
問題ありません。生後100日〜120日頃にまとめて行うご家庭もあります。祖父母の移動が1回で済み、食事会もまとめられる一方、1日の予定が詰まって赤ちゃんが疲れやすい点には注意してください。
Q. 大安の日を選んだほうがいいですか?
こだわらなくて大丈夫です。六曜は陰陽五行説をもとにした時刻の吉凶占いで、神社との直接的な関係はありません。大安以外の日を選ぶと混雑を避けやすいという利点もあります。
あわせて読みたい
・七五三の前撮りはいつから?混雑を避けるベストな時期を解説
・祖父母と一緒の三世代写真、いつ撮る?お盆の帰省が絶好のチャンスな理由
参考:産泰神社「【2025年版】お宮参りはいつ行く?ベストな日取りの決め方を神職が解説」/気象庁「2025年(令和7年)の天候のまとめ(速報)」/消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」/環境省 熱中症予防情報サイト「生活の場における暑さ指数について」
まとめ
お宮参りの「生後31日・33日」は、伝統的な目安であって期限ではありません。北海道の百日参りのように、昔から気候に合わせて時期をずらしてきた地域もあります。
近年の夏は統計上でも記録的な暑さが続き、赤ちゃんの高さは大人より暑さの影響を受けやすいことがわかっています。真夏に重なるなら、気候の落ち着く時期にずらす判断で問題ありません。
祖父母への一言と、生後1か月頃の記念撮影。この2つだけ押さえておけば、あとはご家族の無理のないタイミングで大丈夫です。


